Bradley Wiggins讚

UKの2012年を振り返ると、クイーンのゴールデンジュビリーとロンドンオリンピックで盛り上がった年であった。
普段スポーツに興味のない自分も随分とスポーツ観戦した。オリンピックの前からアンディー・マレーが久々の英国人として優勝できるかもと大いに期待されたウインブルドンの決勝、次いで、初の英国人の優勝か、とこちらも大いに期待されたブラッドリー・ウィギンスのツール・ド・フランスはドキドキしながらテレビを観たのでした。
英国の夏の名物の一つでもあり、伝統でもあるウインブルドン選手権男子シングルスでは1936年のフレッド・ペリー以来英国人の優勝はないのでマレーの活躍には、これで積年の願いが叶うかと期待は大変なものであった。
結局スイスのフェデラーがまたまたタイトルをとってしまった。残念。オリンピックでは再びマレー対フェデラーの対戦でマーレーがゴールドをとったが、フェデラーがマーレーに花を持たせたんではないかと言う気がする。スポーツマンとして敢て負けるということはないにしても、彼の意識のなかで、ま〜これで勝たなくてもいいっか、マーレーに勝たせてやりたい、 という気が少しあったりしたのではないか。
一方、ブラッドリー・ウィギンスはフランスの夏の名物で伝統のツール・ド・フランスで初の英国人として優勝したのであった。これは快挙中の大快挙である。何日も続く競技で段々ウィギンス 優勝か?!という状況になるとともに、テレビ中継から夜のニュース報道もにわかに活気づいてきて、自分も含め普段ツール・ド・フランスやサイクリングに全く興味のない多くの人が興奮して見守ったことであろう。
表彰台でも飄々としていた長身のブラッドリー・ウィギンスは 髪型といい大きなモミアゲでクールでモッドな雰囲気。スポーツマンというよりミュージシャンのようだった。自転車競技服からでも彼の醸す気配に、普段はモッドな服装で絶対OasisとかOcean Colour Sceneが好きだろうな、と直感したのである。スポーツマンにありがちな体育会系あか抜けなさとは対極にあるような彼に興味を持って、ネット調べてみたところサイクリング界では良く知られた 人で、過去のオリンピックでもメダルも沢山とっていて世界大会でもジュニア時代から活躍している人であった。数ある自転車競技の記事の中に、 サイクリング専門誌のインタビュー記事で音楽について語っているのを見つけた。91年11歳の時にテレビでStone Rosesを見てイイな、と思い、その後またテレビでSmithsを見てジョニー・マーのギター姿に憧れ、94年にまたまたテレビで紹介されていた新バンドOasisを見て大衝撃、翌日の学校での皆の話題はOasisで持ち切りだったと言う。同時期テレビ番組のテーマソングで Ocean Colourを知り、そのころは OasisとOCSばっかりきいていたとあった。その後、自転車競技の試合前にスタジアムでかかっていたPaul Wellerの曲からWeller, The Jam, Small Faces, Kinks, The Who…..と広がっていき、自らもギターを手にして、成長するにつれお金は全てギターと服につぎ込みヴィンテージ・ギターのコレクターだそうだ。
ウィギンスの例を見てもテレビで知った、というのが多いが、それだけ英TVとラジオでインディー系含め良質の音楽にふれる機会が多いのである。私もウィギンス同様Top of The Popsの80年代版の再放送でThe SmithsのThis Charming Manを見て、すごいイギリスではスミスがテレビに出ていたのか!とビックリしたのであった。ヒットチャートに登っていたのだから当然と言えば当然だが、他にもスージー&バンシーズやスパンデュー・バレエやポンニチ感覚からすると80年代にレコード(!)でしか知らなかったインディー系のミュージシャンが普通にテレビに出ているので感心してしまった次第。そういう訳で英国に普通に暮らしていれば、たとえ今10代、20代でも60’s, 70’s, 80’s, 90’sから最新までいい音楽を知る機会は多いのである。そういうところから音楽のセンスも研かれまた若い世代も育っていくのであろう。
話しがそれたが、ウィギンスに戻る。
そういう訳でその後スポーツ選手の中でも特にこの音楽の趣味を共にする彼に注目してオリンピックも観戦した。オリンピックではヘルメットにターゲットマークをつけてまたまた大活躍しゴールドメダル。フレッド・ペリーのブラッドリー・ウィギンスラインは売り切れ、再結成したStone Rosesのライブに行ったのがニュースになったり、彼のモッドぶりと音楽好きは衆目に知られるところとなった訳である。きっとウィギンスも開会式閉会式は好きなバンドが沢山出てエンジョイしたことであろう!
12月になると毎年BBCのスポーツ・パーソナリティー・オブ・ザ・イヤーの授賞式がある。そりゃあ今年は当然ツール・ド・フランスで初のブリティッシュ優勝のブラッドリー・ウィギンス。授賞式では細身のベルベットのスーツで若かりし頃のロッド・スチュワートの様で素敵。その後のパーティーではギターでWonderwall 。このパーティーバンドのヴォーカルがひどくて軽々しくて興ざめだが、ギターを弾くウィギンスは真剣で超クールなミュージシャンぶりでイイ。サイクリングから引退したらバンドをやりたいと先のインタビュー記事でも語っていた。彼のようなスポーツマンがいるのも英国ならではと言えよう。
クリスマス翌日のボクシングデーの夜はBBCラジオ6でポール・ウエラーと2人で2時間DJのスペシャルプログラムで、またこれが良かったんだ。が、数年前に彼がサイクル誌に語っていたのが本音だと思うが、そこではThe Jam, Oasis, Ocean Colour Scene, The Who, Small Facesを最も好きなバンドで、オーシャンのギタリスト、スティーヴ・クラドックをベスト5ギタリストにも入れていたにもかかわらず、入っていて当然のオーシャンカラーが番組での選曲に入っていない。 ウェラーは3曲も入っているのに。う〜むこれは何かウェラーの意向が 強く入ってるね。
今日は恒例のNew Year Honoursが発表された。今年活躍した多くのオリンピアン達がKnight, CBE, OBE, MBEを受ける事になったが、中でもウィギンスはナイトである。これからはSirウィギンスだ。オリンピック開会式の総演出のダニー・ボイルにも与えられる予定だったが、本人が拒否したとニュースで言っていた。結構政治的なポリシーなどで拒否する人も多い。特にアーティストやミュージシャンなど。考えてみれば、女王や国王から国に忠誠をつくす騎士団としてのナイトの称号を与えられるってわけだから古色蒼然たる 権威主義国粋主義、階級制をそこに感じて拒否するのだろう。「サー・ウィゴー」というタイトルの新聞記事では「ま〜ジョークの種ですよ」と本人は言っていた。
フットボールクリケット、テニスなどの人気スポーツの陰で今まであまり注目されなかったサイクリングであるが、ボート競技と並んで英国はかなり強い競技で沢山メダルをとっていたのであった。ローゼズのジョン・スクワイアーも熱心なサイクラーなのだとウィギンスがラジオで言っていた。ウチの近所にもサイクルショップが増えて、自転車業界はブラッドリー・ウィギンスさまさまであろう。
Radio6では50代のウェラーと30代のウィギンスが自分の好きな音楽やその周辺と当時の自分達 を語っていたが、世代や過ごして来た時代ややってきたこと は違っても、音楽という共通項で繋がれるというのは素晴しいことだ。ウェラーはロンドン郊外に暮らすフツーの少年の頃、学校とその後は工場で働くしかない世界から、ビートルズをきいて夢と希望を与えれ世界が広くなったと語っていた。ウィギンスは14歳だった頃OasisのDefinitely Maybeの曲全てが自分にいかに影響を与えたか、現状を打破して何か新しいことに挑戦して,何かを成し遂げてやるぞというような期待と勇気と自信を与えられたと語ってLive Foreverをかけた。(ウ〜泣けます、ホント、そうです、こちらは10代じゃなかったけど)Oasisが奮い立たせた少年がツール・ド・フランスで優勝し、オリンピックメダルを取り、ベスト・スポーツマン2012に選ばれてSirももらったんだからすごいよなあ。早く引退してバンド活動を開始して欲しいなどとおもったりしている。

BBC Radio6 Paul Weller & Bradley Wiggins play list
Paul Weller / Into Tomorrow
The Kinks / Wonder Boy
The Meters / Handclapping Song
Billy Davis / Stanky Get Funky
Dee Dee Warwick / Were Doing Fine
Jr. Walker & The All Stars / I’m A Road Road Runner
Noel Gallagher’s High Flying Birds / The Good Rebel
Miles Kane / Inhaler
Paul Weller / The Piper
Chuck Wood Seven Days Too Long
Paul Weller / Always There To Fool You
Syd Arthur / Ode to the Summer
Robert Wyatt / A Beautiful War
Peggy Scott & Jo Jo Benson / Soul Shake
The Rifles / Peace And Quiet
The Beach Boys / How She Boogalooed It
Little Barrie /Tip It Over
The Stone Roses / Love Spreads
David Bowie / Breaking Glass
David Bowie / Scary Monsters
Little Richard / Good Golly Miss Molly
Gladys Knight & The Pips / No One Could Love You More
Bobby "Blue" Bland / These Hands Small But Mighty
The Jam / That’s Entertainment
Oasis / Live Forever
The Who / I’m A Boy
Madman / Running Through The Fields
July/ Dandelion Seeds