ロンドンオリンピック閉会式 其の二

ロンドンオリンピック閉会式 其の二

(前回から続き)
開会式ではQueenのライブでWe Will Rock Youがあったらぴったりだなあと思っていたが、閉会式ではちゃんと登場しました。ボヘミアン・ラプソディーの曲とともに映像でフレディー・マーキュリーの想い出が流れ、ブライアン・メイロジャー・テイラーのブライトン・ロックでブライアンの大ギター技が延々と披露された。その後再びジェッシーJが登場してフレディーの代わりに歌ってWe Will Rock Youで会場総立ちになった。
ブライアン・メイは昔のロックスター風の派手な出で立ちであったが、コートの両腕のQマークの中に左はアナグマ(英国狸)、右には狐の顔がデザインされていたのをお気づきだっただろうか。天文学者でも有名なブライアンは大変な動物愛護家でもあり、野生動物保護のチャリティー団体と提携して、広大な自宅の庭(というか殆ど森)を保護された動物のサンクチュアリーにしていて、怪我したりして保護された狐や狸やハリネズミや鹿やイギリスの自然動物達が沢山助けられて住んでいる動物達の聖域なのである。以前も悪い人間につかまってサッカーボールのように蹴られたりして瀕死のハリネズミが保護されて、獣医師の手当を受けた後彼のところに引き取られてリハビリ中、というニュースを読みました。(ちなみに、その悪者はちゃんと罰せられて数週間牢屋にいれられた。)
今回の閉会式への登場でもちゃんとその英国野生動物保護活動のアピールがされていたということです。ロックスターの富みと名声を得てもそれに奢らず、地道に地元でこういう活動をしているブライアン・メイを尊敬します。きっととってもいい人なんだろうなあ。
http://www.harperaspreywildliferescue.co.uk/
Queenの武道館での来日ライブに1975年頃行った。当時は今のようにインターネットなんてないし、チケット情報誌すらなく、まだ子供でチケットの入手法法すらわからず母の友人の音楽評論家のおば様にチケットを頼んで行った、自分史上初めてのロックコンサートだったと思う。

トリビュートという意味ではDavid Bowieもトリビュートされた一人である。まだ生きてるけど、ブリットミュージック史上偉大なアーティスト、という意味で。ボウイの写真とヒット曲の数々が次々と流れ、一瞬ボウイ登場かと期待したが、"Fashion"とともに登場したのは、ケイト・モスナオミ・キャンベルなど英国を代表するファッションモデル達。ロールスロイスで現れたり、アナウンスで英国ファッションデザイナーの名を次々連呼したり、英国ファッションを世界に(特に新興国成金に)売ろうキャンペーン。英ファッションブランドでももうほとんど全てがMade In UK/Englandではなく、チャイナである。ヨーロッパのブランドショップやアウトレットに大挙しているのも中国人だし(80年代は日本人だった)、アレキサンダー・マックイーンも死んじゃったし、特に今英国ファッションがすごくクールなわけでもないんだが、というかファッション全体がもう何もない状態になってると思う。同時に新興国にとっては最近手にした自由と金を謳歌しようというときであり、オリンピック後の英国への経済効果を狙って商業主義見え見えである。

一方でロンドンオリンピックでは一般人のヴォランティアが大活躍し、選手団はじめ、世界各国から集まった観客達に笑顔で親切に道案内など対応して大変評価が高かった。閉会式では特にこのヴォアランティアに皆で感謝を捧げるタイムも儲けられた。北京の国家的威信と費用と権力と、それによって統合された人員動員で壮大に繰り広げた前回オリンピックと対比して、低予算、サステイナブル、民主主義、人権、人道主義、自由、笑い、みんなで楽しもう、、、開会式、閉会式もそうだし、オリンピック全体がそういう雰囲気だった。全てが北京とコントラストとなっているようにみえる。みんなによるみんなのオリンピックとなったし、ユニークで最高にクールなオリンピックだったろう。これぞ英国の真骨頂というところだ。
閉会式では約4100人のパフォーマーのうち、プロは250人で、大人のヴォランティア3500人、地元学校の子供達380人だそうだ。またロックスターやセレブリティーパフォーマー達のギャラは1ポンドだそうです。

The Whoも満を持して最後の最後に登場した。
前半でカイザー・チーフスでWhoのカヴァーをやったので、ああ、本物は出ないのかとちょっとガッカリしていたが、トリのトリでまさかThe Whoで閉めるとは思わなかったです。最高。
ロジャー・ダルトリーもチャリティー活動をすごくやってる人で、毎年ティーンエイジキャンサーチャリティーのライブをやっています。彼のコンタクトだから出るバンドもいいんですよ、これが。
サー・ポールはじめ往年の大スターでも寄る年波で大きなライブだと結構キツい方々も多い中、The Whoは全然そんな感じせずパワフルです。もうホントに最後のMy Generationはこのオリンピックを閉めるのにも、この世界各国参加の大ロンドンパーティーナイトをしめるのにこれ以上の曲はない!
観客席もアリーナの世界各国の選手団も(たとえこれらのロックバンドを知らなくても)この3時間にわたる大パーティーを大いに楽しんだことでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=rsGQ8C64WlQ   (10:58からMy Generation)
開幕、閉幕ともに音楽のことのみに書いたが、開幕式は映像とパフォーミングアートとしても素晴らしかったし、オリンピックについても書きたいところだ。また改めて。
今週末はV-Fesでストーン・ローゼズだあ〜!