Brexit?

[England 日記]Brexit?
いよいよ英国のEU残留か離脱かの国民投票が近づいて来た。このところテレビ、新聞、ラジオ、どのメディアもこの話題のみである。
人と会ってもその話題。自分の話した限りでは残留派離脱派半々。
ある人は「絶対残留すべき、そうでないとアメリカや中国と貿易等でより近くなってしまってより金金主義になって、(今はEUで拒否してる)遺伝子組み換え食品などもどんどん入って来るし、EUであれば、そこまでグリーディーにならず少なくともヨーロッパのアイデンティティーは残せる」(う〜んそれも納得)、という人もいれば「ギリシャの金融問題にしてももうすでにEUは機能しないのは明白だ、これ以上移民に来られたら自滅だ、早目に抜けて英国はコモンウェルス国もあるし、孤立することはあり得ないから、共倒れになる前に独自に切り開いていくべき!」(う〜ん、それも納得)
孫子の代まで長い目で見れば絶対離脱しないと後で後悔する(英国崩壊)、でもこの2、30年の自分達だけの一生の問題だったら残留(目先の経済安定)」(だったらやっぱり残留して〜、ポンド安困るし)「離脱も残留もない、どうなったってもう人間がfuxxkedだから、世界がfxxkedだ!」(確かにその通りです)、、、テレビの討論番組でも半々。
田舎道をドライブしていると、農地に"我らの英国を取り戻そう!Vote Out!"と看板が出ていたり、普通の人の家でも"RemaIN"という看板を玄関先に出していたり、まさに半分半分。
印象としては離脱がやや優勢だったのが、先日の極右による左翼議員殺傷事件でまた逆転。
ただ残留が左派、離脱派が右派かというとそういうことではない。
もしBrEXITすれば、ポンドもユーロも超安になって、世界的に経済は混乱するであろうし、他のEU国でも同じく離脱の機運も高まろう。先日オランダに行った際にも地元の英字新聞に英国がEU離脱したら、我らも続く、という見出しがあった。他のEU諸国も続く可能性もあり、EU自体が存続の危機である。
残留派はEUであることのメリットはとにかく経済と安定、離脱したら大変なことになるし、ヨーロッパの連帯が如何に大切か、という理想論的な部分。残留したらしたで、離脱派はUKIP(UK独立党)に流れて、逆に右傾化する可能性も。
EUの問題は英独仏和北欧などの経済的に豊かな国が、ギリシャや東欧諸国を支えなくてはいけない上に、そういった仕事もなく賃金も超安な国からどんどん(特に英)に仕事を求めて人が流入してくる。英の移民数は毎年増加しており、25万〜30万人と言われる。ノッティンガムの人口と同じくらいの移民が増加している、それも毎年。家も足りないし、そのうちNHS(医療システム/全てタダ)や学校、公共機関などインフラが人口増加に追いつかないのでは等々、移民の問題はとにかくこの数年の大問題であることは確かである。
特に東欧の通貨がユーロになっていない国(ポーランドルーマニアブルガリアアルバニア等)からイングランドに出稼ぎに来て、ポンドを持って帰れば自国ではかなりの収入であろう。
また英国は社会保障が良く、医療は全てタダだし、低収入者には住宅手当、子供手当、失業手当など色々つくので、楽して金貰おうとそれ目当てで来る人達もいるわけである。先日も眼鏡ショップで色々眼鏡を試していたら、なんともどうしようもない感じの中年男性2人がやってきて、店員さんに「タダ、眼鏡!タダ、眼鏡!(Free glasses!)」と主張。イギリスはNHSで子供、老人、又は目の病気で眼鏡が必要な人はタダで眼鏡がつくって貰えるのである。ただし、医師からの証明書が必要なので、店員さんがそれを説明しても中々英語が通じず「タダ、眼鏡!」を繰り返す、店員さん困惑、周りの客も眉をひそめ、、、、一緒に居た英人は「こりゃ、やっぱり離脱だな」と言っていた。多分そこに居た人達は皆そう思ったであろう。こういうことは日常茶飯事の英国である。
外部者の自分からみてもこの30年でイギリスのイギリスらしさはすっかり薄れていると思う。特にロンドンやバーミンガムなど大都市はそう。
一方で低賃金でも一生懸命働いて頑張ってる人も当然いるし、そういう人の方が多いと思う。友達のポーランド人、アルバニア人も皆一生懸命働いて英国社会に溶け込もうとしているし、その上日本が大好きないい若者達である。とかく世論的には東欧人が仕事を奪って行く!的な非難めいた調子がありがちなのであるが、十把一絡げで人を国や肌の色、出自等で判断してはいけないとつくづく感じる国際社会イギリスなのである。
Wasabiという寿司のテイクアウェイの店が前はロンドンにしかなかったが、バーミンガムの駅に出来た。パックの寿司や焼きそば、丼もの、どら焼きなどもあり、店内でも食べられるし、重宝しているのであるが、先日そこで寿司をつまみながら、キッチンやレジで働く様々な人々を眺め、もしBrexitしたら、こういう店も働き手が減って、今のように安価に寿司も食べられないのであろうか、と思った。実際イギリス人には低賃金で疲れるめんどうな仕事も、ヨーロッパの仕事の無い国から来た人達は一生懸命やってるわけで、それでイギリスの景気も良くなってるし、市民も恩恵を被ってる部分もあるはずなのである。
またまた一方では、単一民族の日本に生まれた身としては、アジア全体って言われてもやっぱり日本は日本だし、ひとまとめには考えられないわけで、仮にEU的にAU(アジアユニオン)なんてことになって、本部がシンガポールあたりになって、アジア中の国から代表が集まってルールを決めて、日本にも、こうせい、ああせい、と言ってきたら、言いなりになるだろうか?
そう思うと、「もうコントロールされない」「我らが英国を取り戻そう」「自分達でルールしよう」という離脱のスローガンもよく納得してしまうのである。
ヨーロッパの中でも、各国それぞれの歴史や文化も違う中で、やはり大陸側と英国は島国だし、ちょっと違うのである。日本がアジアの中でもかなり違うのと同様。歴史をみても、カソリックでローマにつべこべ言われて離婚もできないんじゃあやってられない、と英国国教会をつくってローマとおさらばした英国。文学でも音楽でもやっぱり反逆精神というか、エキセントリックというか独自な英国と思うと、議会ではなく、国民投票の今回はもしかして?とも思うのである。
大企業や経済界にとっては絶対に残留して欲しいところで、小規模ビジネス、自営の人は離脱したい、でも結局は不透明素材の多すぎて、明らかに経済的混乱はさけられない離脱より、残留になるのでは?と思っているところ。
ただこのところ想定外が多い英国。次期首相選の時も、予想では労働党の勝利でPMになったつもりでいい気になっていたミリバンであったが、実際は保守党でキャメロンの続投になった。今年のチャンピオンズリーグではレスターシティがまさかの優勝。Euro 2016ではなんと58年振りにメジャートーナメントに出場したWales代表がどんどん勝ち進んでいるところ。金に物言わせたグローバルチームが当然勝ち進むであろうところ、レスターシティといいウエールズ代表といい、個人の努力とハート、応援する地元感覚スピリットの勝利であるからして、まー本当にこればかりは金曜になってみないとわかりません。