この夏のギグ Moon Duo @ Sacred Trinity Church, Manchester

この夏もLondon, Manchester, Birminghamと色々ギグに行って来た。

18世紀の英国国教会 Sacred Trinity Church
マンチェスターでのMoon Duoは、Sacred Trinity Church (三位一体教会)でのパフォーマンスだった。シティセンターのはずれのちょっと侘しいエリアにある教会に入ると、仮設バーが作られており、おじさんが2人でビールを売っていた。坊主頭でヒゲでピアス、着ている服は地味なフリースのトレーナー姿で、昔パンクだったけど今は普通の中年と言う風体の方々であった。昨年のP.I.L.のライブのオーディエンスはそういう人が多かった。教会の掲示板に出ていた教会のメンバー一同の紹介写真を見ると、ビール売りの一人はメインの牧師さんだった。この元パンク風牧師さんの御陰で、この教会ではよくロックコンサートやクラブナイトなどが行われているようだ。それもイングランドならでは、いやマンチェスターならではと言えよう!特にここSalfordサルフォードはマンチェスターの音楽シーンに縁の多いところである。何といってもThe Smithsの写真で有名なサルフォード青年倶楽部がある。ここではスミスファンがモリッシージョニー・マーをまねて写真を撮りたいところなのです。(マー自身はこの有名な写真が大嫌いだったそう)。わかりやすく言うと、アビーロードの横断歩道でビートルズファンが写真撮りたいのと同じですね。今の英国首相デイヴィッド・キャメロンは大のスミスファンで、首相になる前、保守党党首の頃サルフォード青年倶楽部で記念写真を撮ろうとしたが、保守党の軟派なポッシュなサウス野郎が、アップノースで我らがスミス(北部労働者階級)の聖域で撮影だとお〜!と、地元の労働党議員が意地悪して、毎回邪魔して写真撮影を許さなかった、そうだ。最終的には撮れて、ハウス・オヴ・コモンの自室に飾ってあるとか。クールなエリアのクールな牧師さんのクールなチャーチでのMoon Duoのライブは超クールだった。
パフォーマンスは祭壇や聖歌隊の座席などがある教会の正面舞台で行われ、バックにはステンドグラスが美しい。
開演前

San FranciscoからのMoon DuoはギターのRipleyとキーボードのSanaeの2人組で、レペティティヴなサイケデリッククラウトロックにSuicide調ヴォーカルが電気的効果を伴って遠くから聞こえて来る催眠的エレクトロギターロックとでも言いますか。演奏中のサナエがとっても素敵だった。ラヴリーフェイスなので、美人は見てるだけで気持ちのいいものだが、その上、パフォーマンスに「わたしがやってま〜す」という自己顕示が全くなく、音楽に浸ってやってるだけの音楽そのもののヒトになっているのが良い。音楽でも舞踊でも人前で何かやる人でパフォーマンスに「コレをやってる“私”」が出てしまうともういけない。見てる方は興ざめなのです。見てる方はその人の個人/プライヴェートを観賞するのではなく(=「これをやってる“私”」ではなく)、コレそれだけになっている、その人のやってるコトを感心して見たいのです。それが才能とか芸とかいうものであろう。芝居は役になりきるから、比較的自分では無くなりやすいので、女優でクールな人は沢山いるが、女性で音楽、ダンスの分野だと結構難しいように思う。日常意識でもダメだし、あまりに入りすぎちゃっうとヒステリックな女性性の叫びになってコワくなりがちだし、なかなか難しいのだ。そういう面で、シンプルに素敵だなあ、カッチョいいなあ、と思える女性パフォーマー(ミュージシャン、ロッカー)って以外にレアなんだな。
いい音楽とクールなサナエのプレイでそんなことを思いながら観賞したのであった。(当然リプレー氏もかっこ良かったです)

Moon Duo

http://moonduo.org/splash.cfm