Christmas Eve

<写真:今年の我が家のクリスマスツリー/毎年色テーマなどを変えています。今年はゴールドとガラスでシンプルに。>
子供の頃は楽しみなクリスマスも、大人になってからは特にどうということもなく、全てその年の仕事の都合とスケジュール次第で、友人と忘年会かねてパーティーだ、という年もあれば、ナシのときはナシという程度のものだったし、クリスマスツリーときては小学校以来飾っていなかったと思う。
英国でのクリスマスももう何度目になっただろうか。こちらに来てからは毎年ちゃんとクリスマスをやることになった。
ちゃんと、とは、クリスマスツリーを飾り、玄関や暖炉の周りにも豆電球の電飾や樅の木と色とりどりのボーブルスをぶら下げたりして飾り立て、親類縁者友人にクリスマスカードを送り、送られ、チャリティーにクリスマス募金を送り、身内へのプレゼントに頭を悩ませ、、、25日には親宅でクリスマスランチ、ツリーの周りに置いてあるプレゼントをいよいよ開封!昼間からアルコールも入ってるため夕方にはソファーで居眠り、、、という典型的ファミリークリスマスです。
12月はテレビもラジオも新聞雑誌も人々も、どこでもクリスマスの話題、クリスマスはどこで過ごす、プレゼントは買いそろえたか、はたまたオフィスや友人とのプレクリスマスパーティーやらランチやらはあるし、電飾やデコレーションで町中、家中キラキラして、キャロルからポップスからロックからクリスマス曲が鳴り響いて、目眩のするようなクリスマス気分のなかで25日の本番に向けてどんどん上り詰めて行くのです。先週くらいからはスーパーマーケットもなんとなく主婦達の「ちゃんと必要なものは買いそろえなきゃ」というどこか切羽詰まったような緊張感が溢れてきます。クリスマスは家族で過ごすものであり、独立した子供達が家族を引き連れて実家に帰って来て皆でお祝い、という日本のお正月のようなものなので、全国のお母さん達は子供達、孫達家族みんなの為に腕を振るって(あるいは出来合いを買いそろえて)御馳走食べて、飲んで、プレゼント交換して、大いに楽しく過ごすためのホステスとして大活躍しなければならないのです。私の相方の母も秋頃から「今年のクリスマスのトリは何にする?去年はケイポンだったし今年はターキーにしようか?」とか「お菓子は何にしようか?」「プレゼントは何がいい?」という話題で思考は全て”クリスマス”になってきます。以前クリスマス前に東京で公演があって一回だけ帰らなかった年がありましたが、す〜んごくがっかりされて、その後毎年「今年はクリスマスはイングランドに居る?」と念を押されるようになりました。やはり、正月に実家に居ない、というのと同じインパクトがおふくろさん達にはあるようです。イングランドの、というか多分キリスト教圏西洋諸国はどこでも、子供達だけでなく、主婦やお母さんたちにとっても1年で一番大事な日なのではないだろうか?逆に若者達やお父さん、お兄さん達は、忙しくてキリキリする奥さんやお母さんに文句を言われながらお手伝い、集まって来る身内のおばさんのおしゃべりを聞いたり小さい甥姪の遊び相手、、、、「クリスマスをいかに平和に乗り切るか?」というのが課題でしょう。そしてそこにはお母さんor奥さんの「みんな楽しくしてるかしら?!」という目がいつも光っているのです。そうして、みんな飲んで食べて、また飲んで食べて、、、
明日はお店もバスも電車も全部止まって町中が静まり返ります。私も自家製のGame Pieとプレゼントを持って、明日の朝は親宅に行き、お母様のクリスマス圏内に突入してハッピーにジョリーに過ごしてきます。
イヴの今夜は、もうすぐ子供達が各家の玄関を訪れクリスマスキャロルを歌ってくれます。バーミンガムに住んでいた頃はこんなディケンシアンな風情はありませんでしたが、これもシュルーズベリという歴史ある田舎町故の情緒です。
<写真:ちょっといびつなGame Pie 鹿肉と兎肉とクランベリー入り>